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数学のロマンの真骨頂!「フェルマーの最終定理」 [本]

350年の謎に挑む数学者達の戦いの歴史と結末!!

フェルマーの最終定理 (新潮文庫) 久しぶりに徹夜読了です。数学があまり得意な方ではないので、以前から読む予定の本の山に埋もれていた「フェルマーの最終定理」をこの週末に読みました。土曜の夜に読み始め、終えたのは翌朝4時(笑)。またもや徹夜する程面白い本にヒットです。何が凄いかというと、ノンフィクションでここまで面白いということ!ということで早速あらすじをご紹介したいと思います。

17世紀にフランスの地方に数学を愛するアマチュア数学者が住んでいた。彼の名前はフェルマー。彼が残した本の中に「私はこの命題の真に驚くべき証明を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことができない」と書き込んだのが”xn+yn= zn”の方程式はnが2より大きい場合には整数解をもたない、というもの。フェルマーが証明できたというこのシンプルな命題を証明すべく350年間に渡る数学者の挑戦と敗退の歴史が始まる。そしてこの「フェルマーの最終定理」に10歳の時に図書館で出会い、後に証明することに成功するアンドリュー・ワイルズの孤高な戦いの記録である。

凄くシンプルな方程式ですが、数学の世界では「証明」されることが何よりも重要であり、「証明」出来ないものは仮定でしかありません。なのでこの「フェルマーの最終定理」もフェルマーは証明出来たけれども、他の数学者達は証明できないままの命題として賞金が懸けられる程の数学界最大の謎として君臨することになります。この命題の面白い所は本の中でも何度も書かれているように、これが証明されても世界が変わるような発明や新発見につながるものではないということです。それにも関わらず、350年に渡って多くの数学者達が証明すべく奮闘するのですから、彼らが如何にロマンチストかを感じさせます(勿論良い意味で)。

数学の本ということで倦厭していたのですが、ピュタゴラスの定理から始まり数学と人類の歴史をド文系の私でも話についていける程分かりやすく書かれているので、数字が苦手な人も安心して読むことが出来ますのでご安心下さい(これ重要)。そして数学って本当に美しい学問なんだなぁと感じました。天賦の才に恵まれつつも時代に見放され儚く散っていった数学者の執念や偏狭な学会や男女差別と闘った女性数学者、そして「フェルマーの最終定理」を証明するにあたって重要な役割を担う日本人の2人の数学者(とその悲劇)の等々、数多くの文献とインタビューに基づき、その時の状況を丁寧に描いているので、アンドリューが7年間孤独の中で研究を進め証明まで近づくにつれて何だか読んでてドキドキするくらいでした(一度発表した後に欠陥が見つかり更に1年間修正に費やしているので合計8年かけています)。アンドリュー・ワイルズが証明に至るまでの過程(谷山=志村予想含む)は高度な計算でサッパリでしたが、数学好きな人にとってはたまらない時間であること間違いなしです。またフェルマーの最終定理に挑んで生み出された数学の新発展で、天文学や哲学、自然科学やプログラミングなどは大きくその後発展します。

アンドリュー・ワイルズは最終的に20世紀に証明された数学を用いて1994年に「フェルマーの最終定理」を証明することに成功します。しかしフェルマーはメモには”証明をした”と書いています。ここで解明できない謎が残ります。果たして本当にフェルマーは証明出来ていたのかどうかです。フェルマーの性格を考えると「実は証明出来てなかっただろう」という人もいれば、「当時の方法で証明できた」と考える両派に分かれていて、後者は17世紀の数論で証明をしようと新たな挑戦に挑んでいるそうです。どこまでもロマンチストです(苦笑)。

今度会社で「私はこの課題の驚くべき解決策を持っているが、余白が狭すぎるのでここに記すことは出来ない」と書いたプレゼンを会議室で披露したらどんな反応が返ってくるのが見てみたい気がしますが、笑いも取れなければ評価もガタ落ちになりそうなので控えたいと思います(苦笑)。とにかく数学が好きな人は死ぬまでに一度は読むべき本ですし、そうでない人も一つの問題に人生をかけて挑む数学者たちの奮闘と受け継がれる知恵のバトンによって難攻不落の「フェルマーの最終定理」を証明するまでのドキュメンタリーとして一読の価値ありです。読み終わる頃には数学の美しさに感動して、ちょっと数学が好きになっているかもしれません!

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

  • 作者: サイモン シン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/05/30
  • メディア: 文庫

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