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ようやく追いつきました 不思議Weyne Shorterの世界 [音楽]

Weyne Shorterはお好きですか?


Night Dreamer今日もJazzネタです。最初は全くその良さが分からなかったものの、何度も聞いているうちにその良さというか魅力に少しずつ心が惹かれていった作品。そんな表現がピッタリなアルバムが今日の一枚、Weyne Shorter(ウェイン・ショーター)の「Night Dreamer(ナイト・ドリーマー)」です。未だにウェイン・ショーターは好みが分かれるジャズマンであり、大好きな人と理解不能の人と分かれるようです。私も最初はこのCDの良さが全く分からなかったです(失礼)。なぜならこのアルバムが奏でる不思議な空間と雰囲気の音楽に馴染めませんでしたし、しばらく全く聞くことすらなかったのですが、先日久しぶりにこのCDをかけたところ、これまでとは180度反対の印象を受け、ショーターワールドの良さを感じることが出来るようになりました。

ウェイン・ショーターという人を一言で表現すると「天才」です。12才で油絵の州のコンクールで入賞し、15才で長編漫画を書き上げ、同時にクラリネットを習うことで音楽の道にデビュー。音楽を続けながら大学で勉強し、卒業後は軍隊で狙撃手としての手腕をかわれるも除隊し、その後はジョン・コルトレーンやマイルス・デイビス、アート・ブレイキー等錚々たるメンバーと一緒に仕事をし、現在では作曲家として大成功を収めているジャズマンです。またソプラノサックス奏者としても腕前は超一流で、何をやらせても大成する真正の天才です。そしてそういう天才は思想と宗教で若干脇道に逸れるように彼も怪しげな方向に進み、「天才」さをそちらの道でも如何なく発揮し70才を越えた今でも現役で活躍中です。余談ですがグラミー賞を9度受賞してます。

そんな天才の彼が生み出す作品はどれもミステリアスな雰囲気が漂っていて、どんなに明るい曲調のものでもショーターのテイストを聞き分けることが出来ます。そんな天才作曲家として世間に高く評価され、ブルーノート移籍後初めてリリースしたアルバムがこの「Night Dreamer」です。1曲目のタイトル曲の美しいピアノの旋律を聞いて虜になった人も多いと思います。


収録されている曲はどれもショーターワールド前回のものばかりなので、音と一緒にショーターの哲学が頭の中にジワジワと入り込んできます。まるで怪しげな麝香のように官能さをもった抗うことが出来ない音が頭の感覚を麻痺させるかの様な錯覚さえ感じさせます。妖しげな音が故に評論家達がこぞって”黒魔術的”と評するのも納得です。ショーターの音楽の世界以外にも聞きどころが多く、このミステリアスな雰囲気を醸し出す一助として大きな役割をしているのはピアノのマッコイ・タイナーでしょう。1曲目の「Night Dreamer(ナイト・ドリーマー)」に4曲目の「Black Nile(ブラック・ナイル)」と彼のピアノプレイは外せませんし、リー・モーガンのトランペットと一緒にこのアルバムを普遍的なものへと昇華させていることは間違いありません。

冒頭に書いたように私は最初このショーターワールドが理解できず倦厭していました。それは多分私にとってJazzがもっとシンプルなものという思い込みからアレルギー反応が出ていたように感じます。今では色々なJazzの作品を聞き、ジャズという世界の広さを理解できるようになり、ようやくショーターの世界に追いついた、そんな感じだと自分で解釈しています。彼はこれ以降も多くの作品をリリースしているのですが、私の中ではどうしても不思議と本作に戻ってきてしまいます。きっとそれはようやくショーターの音楽の世界が少し分かる様になったくらいでは彼の作品を理解するなんて不可能であり、理解したかったらもっと聞き込んでこい、というショーターの作品からのメッセージかなと思っています。

ジャズの世界は本当に広くて深いです(皆さんお馴染みのフュージョンもジャズのカテゴリーの一つです)。分かり易くシンプルなジャズも好きですが、こういった聞き手の精神を深く突いてくる音楽もなかなかと思えるようになり、ますますジャズの世界のはまりこんでいきそうです。ウェイン・ショーターの「Night Dreamer」はどこに連れていかれるのか全く分からない、予想不可能なジャズの世界をこれからも漂っていくのが楽しみに思えてくる、そんな印象的な1枚です。

Night Dreamer

Night Dreamer

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Blue Note Records
  • 発売日: 2006/08/21
  • メディア: CD


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