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私的読書感想文にオススメの作品 [本]

読書感想文は本選びが大切です

学生の皆さんは夏休み最後の週末だと思いますが、宿題は全部終わりましたか?今日はまだ読書感想文が終わっていない学生さんに向けて、読書感想文にオススメの本をピックアップしてみようと思います。というのも、「十五少年漂流記」のエントリーが好評だったのと、世には読書感想文で困っている学生さんがたくさんいるようなので、そんな皆さんにちょっとお手伝いが出来ればと思い書いてみることにしました。

今でこそ本を読むようになりましたが、私も高校に入るまでは読書なんて大嫌いで、毎年夏休みには凄い苦しんだので、読書感想文を書く苦しさが良く分かります(苦笑)。ということで個人的に読書感想文に向いていると思う作品を年齢別に6冊選んでみました!!

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今回選んだ基準は、読書感想文に相応しい本であると同時に、せっかく本を読むのだからこの本を読んだことが人生の糧となる良書を選びました(完全な独断と偏見によりますが:苦笑)。どれも傑作と呼ばれる作品ばかりです。では本の紹介をする前に、読書感想文を書く時のポイントを簡単にまとめて置くので、参考にしてみてください。

  1. 長編や大作は避ける
    →長編は読書の習慣がない人にとっては読むだけで力尽きますし、長編や大作と呼ばれる本はポイントが複雑になりがちなので、それをまとめるだけでも結構大変。最後まで読めずに挫折というパターンになりがちです。

  2. 有名作品はなるべく避ける
    →読書感想文を採点する先生は夏休み明けに大量の読書感想文を読み、点数を付けます。キャリアの長い先生ほどたくさんの読書感想文を読んでいるため、有名どころの作品の読書感想文は何回も読んでいます。同じ年に同じ本の読書感想文を何回も読むことになるのは大変ですし、過去に優秀な読書感想文を読んでいると、それと比較され点数は厳しくなりがちです。採点する先生も大変ですよね・・・ご苦労様です。
  3. 自分の体験や経験にリンクさせて、自分の意見をしっかり書く
    →これは王道。特に中学生や高校生には必須。読書感想文の重要性は本を読むことではなく、”本を読んで何を感じたか”がポイント。これがないと読んだ意味がなくなってしまいます。
  4. 他人の意見も聞いてみる
    →小学生の場合、3にあげたような自分の経験を書くのは少し難しいので、身近な大人(特に両親や兄弟)にも一緒に読んでもらって、その本について意見交換をして感想文の中に入れると、”読んで考える”というプロセスを経たことがしっかり先生に伝わり、評価も上がるはず(?)
  5. 中高生は小説ではなく、違うジャンルに挑戦してみる
    →本は小説だけではなく数多いジャンルがあります。題材を小説に求めがちですが、他人と被る危険性を回避し、新しいジャンルに挑戦してみる絶好の機会と考えて、小説以外のジャンルから本を選ぶのも良いかと思います。


ではここから今回選んだ6冊を簡単に紹介していこうと思います。

<小学生向け>
十五少年漂流記 (新潮文庫)「十五少年漂流記」(ヴェルヌ著)

こちらは前回書いたエントリーで取り上げた一冊です。少年達の冒険譚として長く読み継がれている作品です。作者の「勤勉、勇気、思慮、熱心の4つがあれば、どんな困難でも必ずそれに打ち勝つことが出来るんだ」という熱いメッセージと、悪人達を少年達が力を合わせてやっつけるという爽快感もあり、小学校の低学年にオススメです。もちろんこの作品はお父さん達の世代も一度は読んだことがある作品だと思うので、読んだ後に一緒に本について話して、その内容を読書感想文に入れましょう。いつ読んでも安心して読める名作です(レビューはコチラ)


君たちはどう生きるか (岩波文庫)「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎著)
こらも名作で、どちらかというと小学生の高学年向けの作品になります。良作だからこそ先生もこの本の読書感想文を何度も読んだことがあるかもしれませんが、読書感想文で「坊っちゃん」や「潮騒」に比べれば遭遇率も低いはずです。こちらはコペル君の日常生活の疑問から真のヒューマニズムとは何かを分かりやすく説いた本です。昭和12年に創刊された本でありながらも、現代でも十二分に通じる普遍的な作品で、作品中に登場するコペル君と一緒に日常の体験を通して、自分で考える重要性を教えてくれることや、学校生活の出来事を新しい視点から考えるようになれる一冊です。この本は感受性豊かな学生の時期に是非読んでほしい作品です。自由とは、人間らしさとは何かを考えるきっかけになる素晴らしい一冊です(レビューはコチラ)。

<中学生向け>
アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)「アルケミスト」(パウロ・コエーリョ著)

中学生にもなるとちょうど背伸びをして純文学なんかに手を出したくなるお年頃ですが、ここでは真逆の作品である寓話に題材を求めてみることをオススメします。この本は一人の羊飼いの少年サンチャゴが経験する旅を通じて、人生にとって大切なものは何かを考える作品です。先に取り上げた「君たちはどう生きるか」と同じジャンルになりますが、寓話という形で描かれる世界は、読み手の価値観の影響から感じ方の幅が広くなるので感想文も色々な角度から書くことが出来ます(レビューはコチラ)。


武士道 (岩波文庫)「武士道」(新渡戸稲造著)
こちらは有名作品ですが、意外と読書感想文の題材としてはあまり選ばれない作品です。「武士道」は長い鎖国時代が終焉を迎え、一気に国際化が進んだ明治時代に新渡戸稲造が外国人に日本人が考える”道徳や価値観”を英語でまとめたものです。グローバル化が進む現代社会にこれからデビューをする学生さん達にとって、自分のルーツである日本人とは何か、ということを考えるに相応しい作品の一つです。中学生の年齢は思春期にもあたり”アイデンティティーの問題”、所謂「自分とは何者か」という内省的な問題に直面する時期でもあるので、日本人とは、そして自分とは何かを考える良い機会になるでしょう。そして長い人生で何度か読み返してみると都度新しい何かを見つけることができる素晴らしい作品です。私は縁あって外国で生活をする機会に恵まれ、今も外資系の会社で働いていますが、日本に興味を持っている外国人は大体この本を一度は読んでいるので、これをきっかけに読んでおくと、貴方の将来重宝する日が来るかもしれませんね(レビューはコチラ)。

<高校生向け>
草枕 (新潮文庫)「草枕」(夏目漱石著)
日本の文豪の作品の登場です。この「草枕」は物語ではなく、漱石が感じる日本の美をまとめた作品です。小説ではないので、感想も何もないのですが、漱石が考えた日本の美(自然美)も含めて、現代社会の価値観と比較しながら読んでいくと実に興味深い作品です。今でも十分に通じる美意識や、もう衰退してしまった美しさなどを一流の漱石の文章力を感じつつ読み進めていくと、色々な発見が出来ると思います。特に冒頭の「智(ち)に働けば角(かど)が立つ。情に棹(さお)させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」は有名ですね。”美意識”は常に時代と共に変化していくものなので、漱石の意見に時には賛成し、時には反対しながら自分の意見をしっかりとまとめていくと良い感想文が書けると思います。


オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)「オイディプス王(アンティゴネ)」(ソポクレス著)
この作品は舞台の脚本となる戯曲というカテゴリーの作品になります。簡単な舞台の指示と登場人物達のセリフのみが書かれた作品で、普段演劇に興味がない人には少し違和感を感じるかもしれない作品ですが、読んでいくとしっかりその場面が目の前に見えてくるので安心してチャレンジしてみてください。この作品は紀元前にギリシアで書かれた物語で、ギリシア悲劇の最高傑作の誉れ高く、小説家が選ぶ好きな一冊に良く選ばれる作品でもあります。一人の英雄が素晴らしい王となったものの、ある事実から一気に転落していくという悲しい作品ですが、シェークスピアとは違ったスケール感のある戯曲は確かに名作です。なお、この「オイディプス王」の物語の後に彼の娘が主人公となる悲劇「アンティゴネ」があります。続き物なのでこちらも一緒に読んで読書感想文を書くと、内容が濃い感想文にすることが出来ると思うのであわせてこちらもオススメしておきます。

今回自分の手元にある本の中からなるべく選ばれないような作品で、読むのに時間がかからない作品を選んでみましたが、読んでみようかなと思える作品があれば幸いです。読書感想文は普段本を読む習慣がないと本当に辛い課題ですが、折角読むのならばその後の人生でも読み返したくなるような作品がオススメです。学生時代の感性は、大人になってしまうと失ってしまう貴重な財産なので、ぜひその貴重な財産をフルに活かして素晴らしい読書感想文を書いてほしいと思います。まだ何も手を付けていないという学生さんは、頑張ってください!!君ならできる!!

十五少年漂流記 (新潮文庫)

十五少年漂流記 (新潮文庫)

  • 作者: ジュール・ヴェルヌ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1951/11
  • メディア: 文庫

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

  • 作者: パウロ コエーリョ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1997/02
  • メディア: ペーパーバック

武士道 (岩波文庫)

武士道 (岩波文庫)

  • 作者: 新渡戸 稲造
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/10
  • メディア: 文庫

草枕 (新潮文庫)

草枕 (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/09
  • メディア: 文庫

オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)

オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)

  • 作者: ソポクレス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/09
  • メディア: 文庫


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