2018年(平成最後の夏)夏休みに読んだ本リスト [本]
・旅のラゴス by筒井康隆
・モモ byミヒャエル・エンデ
リンカーン・ライムシリーズの最高傑作と名高いサスペンス作品。上巻の連続殺人事件を下巻でいきなり全否定したと思ったら、そこから事件がドンドン展開。冷徹な犯人ウォッチメイカーが仕掛けるトリックとライムの頭脳戦。また過去と現在の事件の繋がり等、手に汗握る展開はページを捲る手が止まらない!!全部読み終わるともう一度最初から読み直し必須なので、土日か時間がある時に読みましょう。
なんだ、この余韻は。中毒性があるので要注意(特に男性)。誰もが一度は憧れる職業=旅人。ラゴスが青年から長い時間をかけて不思議の世界を旅して歩き色々な経験を重ねていく物語は、ファンタジー要素の強いハードボイルド小説。最後の最後で死を覚悟して探しに行く「もの」は男のロマンなのか・・・。夢見がちな男性は必読。ラゴスが求める「もの」を同じように求めたり、はまりすぎると人生を棒に振る可能性あるので要注意。
ミヒャエル・エンデの傑作にして児童文学の最高傑作(再読)。説明は不要の神本。時間泥棒と戦う少女モモを通じて感じる「時間」の大切さ等は小学生だと理解するのは少し厳しいかもしれませんが大人には堪えます。中学生以下のお子さんをお持ちの皆さん、絶対に「モモ」をお子さんに読ませてあげて、その感想を一緒に話し合いましょう。貴重な読書体験になる事間違いなしです(断言)。
夢を諦め現実に迎合した男を処刑する「午後の曳航」 [本]
英語で納豆の作り方を説明できますか? [本]
鞄の中に入れて通勤中に読んでます!
「伊豆の踊子」川端初心者と文学初心はこれから始めるべし! [本]
車通勤の功罪??読書時間が・・・ [本]
読書時間が一気に減少へ(涙)
今年から車通勤を始めて気が付いたのですが、読書に費やす時間が一気に減ってしまいました(涙)。これまで片道1時間半の電車通勤の時間を本を読むことが出来たのですが、その時間がまるまるなくなってしまったのです。だからと言って、平日の空いた時間を読書に使っていたかというと残念ながらNoで、一人暮らしをして新たに発生した家事の時間に費やしています。土日も結構忙しく、まだゆっくり本を読む時間を持てていません。新しい生活を始めて一か月経って、読書の観点から見るとこれはかなり危機的な状況なのではないかと感じています。何とかして読書時間を確保しないと本離れが進んでしまいそうです。打開策を考えなければ・・・。むむむ。
ノーベル文学賞にボブ・ディラン!! [本]
これは予想不可能な受賞でした
2016年のノーベル文学賞は、アメリカのロック界のカリスマ、ボブ・ディランが受賞しました。これはある意味、村上春樹さんが受賞するよりもビックリ。歌詞という物を文章そして文学と捉えての結果となると納得ですね。社会的なメッセージ性が強い歌詞はボブ・ディランの真骨頂ですもんね。アメリカ人の文学賞受賞はトニ・モリスン以来になるそうです。トニ・モリスンの代表作「ビラヴド」も衝撃的ホラー作品ですが、かなり社会的メッセージが強い作品ですし、向いている方向は少し違うかもしれませんが、二人の作品の根本に流れる価値観は共通するかもしれませんね。それにしてもボブ・ディランとは・・・ビックリしました。
ビラヴド―トニ・モリスン・セレクション (ハヤカワepi文庫)
- 作者: トニ モリスン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/12/10
- メディア: 文庫
ハードカバーの本の表紙と裏表紙がベタベタに!? [本]
大切な本のカバーがベタベタ&色落ち!!
最近部屋の片づけと合わせて断捨離で一気に持ち物の処分を進めているのですが、その途中で本の表紙と裏表紙がベタベタになっていて、しかもカバーの色が色落ちしている物を発見してしまいました。もう本当に落ち込みます。
現在無水エタノールで軽くふき取り、乾燥中ですが効果のほどは・・・
今回被害にあった本は、岩波文庫から出版されている「世界名言集」という本で、歴史上の偉人達の名言がコンパクトにまとめられている便利な本です。写真でも分かる通り、お気に入りの名言には付箋を挟んでいる程の愛読書なんですが、この1年手に取る機会が確かになかった様に思います。見て分かるように装丁も深い赤に金の文様が入るデザインでシンプルながらも高級を感じられるなかなか凝ったものなんです。素敵な本だけにショックも倍増・・・。ガックリ。更に死人に鞭打つかの様に、隣に置いておいた本に色移りしていることが発覚!!ヒィィィィィーーーーー!!!!!!!!!!!
残酷な現実です・・・
アーサー王物語の終焉 サトクリフ著「アーサー王最後の戦い」 [本]
素晴らしい治世の終焉の物語
イギリスで今でも圧倒的な人気を誇るアーサー王。今回のEU離脱問題の時も「いつかブリテンが苦境に陥った時に私は戻ってくるだろう」と言って去ったアーサー王復活待望論が出た時はかなりビックリしましたが、それだけ人々の生活に馴染んでいる昔話なんだなと感心しました。今回は以前取り上げた英国児童文学界に燦然と輝くローズマリ・サトクリフのオリジナルアーサー王伝説3部作の1作目「アーサー王と円卓の騎士(レビューはコチラ)」の続編であり3部作完結編に当たる「アーサー王最後の戦い」をご紹介します。
1作目と3作目を紹介して2作目はどうしたのかと疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、2作目に当たる「アーサー王と聖杯の物語」は他の2冊に比べると中身が薄く、3作目の冒頭に内容が全部書かれているので、読まなくても本を読み進めていくのに何ら支障がないので飛ばします。もちろん聖杯を求めて円卓の騎士達が数々の冒険をしていく話がお好きな人は2作目もおススメです。では、3作目にして物語の締めくくりとなる本作のあらすじをどうぞ。
聖杯を求めて多くの円卓の騎士が旅だったものの命を落としたり重傷を負ってしまうなど栄光の日々は完全に過去のものとなってしまっていた。アーサー王は自らも年を取り斜陽となった国勢に不安を感じ始める。そんな時アーサー王の不義の息子モルドレッドが成長し円卓の騎士になる。しかしモルドレッドは母親から王に対する憎しみを聞いて育った為、王を亡き者にし王国の滅亡させるために来たのだった。モルドレッドは手始めに王妃グウィネヴィアとアーサー王の一番の親友であり最高の騎士である湖のランスロットの不義の愛をアーサー王に告発することから始めるのだった。
今作はまさに滅亡の物語です。かつて栄光を究めたアーサー王は王の息子でありながら絶対悪として対峙し、モルドレッドとし烈な戦いへと突入します。絶対的正義の王であるアーサーが、自らの過ちから生を受けた息子にして悪の象徴であるモルドレッドによって円卓の騎士達と厚い友情を失い、王妃を自らの手で処刑しなければならない立場に立たされ、最後は国も失います。身から出た錆ではありますが、この滅びもかつてマーリンによって予言されていた物であり避けられない運命としてアーサー王は理解しているという、こんなに悲しい話はありません。
ジョコビッチのプロ意識と食生活に対する意識の高さが凄い!! [本]
グルテンフリーの正体は糖質制限だった
先日病院で受けた「MAST36」というアレルギーの血液検査の結果、小麦、乳製品、卵に食物アレルギーを持っていることが分かり、ショックを受けたというエントリーを書きましたが、その時に取り上げたテニスのジョコビッチ選手が提唱する「グルテン(小麦)フリー」の食生活に興味を持ち、巷で話題の「ジョコビッチの生まれ変わる食事」を読んでみました。本の内容を簡潔にまとめるとプロテニスプレーヤーとして”そこそこ良い選手”だったジョコビッチ選手が”世界トップクラスの選手”になる為に必要だったのは、これまで培ってきた高いプロ意識に加えて”自分の体(体質)にあった食生活”だった、という物でした。
まず、この本を万人向けダイエット本として読むのはNGです。その理由は
- パンやパスタ等小麦製品を主食とする欧米諸国の食生活が前提に書かれているので、ご飯(米)を主食とする日本人の食生活とは前提の部分で大きな違いがある。
- グルテン(小麦)不耐症なら「グルテンフリー」で大きな成果を得られますが、グルテンに対して何の問題がない人にはグルテンを制限しても効果はない。
よって、もし貴方がグルテン不耐症体質(病院で簡単な血液検査で分かります)で小麦製品主体の西洋式食生活を送っているならば素晴らしい効果を実感できますが、ランチは定食で夜も白米という食生活では本に書かれているような残念ながら美容と健康効果は期待できないでしょう。
ですが、ちゃんと内容をしっかりと読み進めて行くとグルテン不耐症ではない人達に向けた食生活のアドバイスと提言がまとめられていました。それが、
糖質(炭水化物)の過剰摂取を制限した食生活
超ヘビー級小説 フォークナー著「アブサロム、アブサロム!」 [本]
記憶と語りから事実を見抜いていく小説
約2週間に渡って読み進めた小説「アブサロム、アブサロム!」を夏休みに入ってから一気に読了しました。本作はアメリカ文学重鎮ウィリアム・フォークナーの長編小説で、意識と時間の概念がバラバラの為作品の中で語られている部分が、いつの話であるか、語り手が言っている事は本当なのか、を前後の内容から読み手が判断していくという小説に読み慣れていない人にはかなりきつく、常に頭をフル回転させながら読み進めて行くスポーツの様な小説です。正直結構大変で、2度連続して読み返してようやく内容を理解することが出来ましたが、読み終わった頃には脳みそが痙攣をおこしそうな程ヘトヘトになりました。ではあらすじを簡単にどうぞ。
1830年頃ミシシッピ州のとある街に突然現れた一人の男トマス・サトペン。彼は100マイルの土地を取得し大量の黒人奴隷を使い立派な屋敷と広大な農園を作る。謎が多いサトペンに懐疑的だった街の人達から信用を得る為にコールドフィールド家の娘と結婚し確固たる地位を築き上げる。2人の男女の子供にも恵まれたが時は南北戦争へと突入し、長男ヘンリーが学友チャールズ・ボンを連れてきたことによって、サトペン家は一気に没落への道を転がり落ち始める。サトペンが隠していた過去の出来事と南部特有の人種差別が合わさり、サトペン家の明るかった未来を侵食し、燃え盛る炎になってサトペン王国を崩壊させていく。
この物語は基本的に3人の人間が章毎に入れ替わりながら話しをしていくタイプのもので、その中にトマス・サトペンはいません。ということは、トマス・サトペンから話を聞いた人がその話を自分なりに解釈したり推測してそれを誰かに話していたり、語り手が持つサトペンに対する感情的味付けがたっぷりとされた色眼鏡越しに語られていたりと、同じ出来事を説明しているはずなのに内容がちょっとずつ違っていたりして読み手の心の中に沢山の疑問符が重なって進んでいきます。語り手の話を全部信用してはいけません。当然トマス・サトペンの全てを語り手全員が知っている訳ではないので、Aという語り手の話には登場しないイベントがBという語り手の話の中で登場したりもしますが、厄介なことにその出来事がいつの出来事なのかをそう簡単には分からせてくれません。人間関係も複雑なのでサトペンの血縁関係を追っていくだけでも大仕事です。