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豊饒の海シリーズの初版本か!? [本]

超幸運な巡り合わせに即買い

最近本のレビューを書いていないのですが、私本好きです。好きな作家は三島由紀夫で、彼の文学館にドライブで出かけたりと折々に本に関連する場所に行ったり、好きな本を読み返したりしています。先週仕事で神保町に行く機会があり、直帰ということで帰りがけに古本屋さんをぶらぶらしていたところ(神保町で古本屋街を歩くだけでも楽しい!)、私が好きな「豊饒の海」というシリーズの新潮社のハードカバー4冊がセットで売られているのを発見。このシリーズは単行本で何度も読み返している程好きなシリーズであることもあり、パラパラっと中を確認して購入してきました。ちなみに1冊目の「春の雪」は映画化されています!

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4冊並べると圧巻。左がカバーで、右が本。昔の本は装丁が綺麗です。

三島由紀夫は私が生まれる10年以上も前に亡くなっているので、彼の作品が発売された当時の本を入手する機会は古本屋での偶然の出会い以外ありません(文庫本は除く)。今回購入した4冊は状態としては特に綺麗なわけではなく、箱が少し削れていたり若干日焼けしている部分もありますが、本としては全く問題ありません。また、最後のページには多分この本の前の所有者さんが書き込んだと思われる日付が書かれています。

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1969年2月28日に購入したのか、読了したのかだと思います。

購入した4冊ともに同じ筆跡で同じ場所に記入があったので、前の所有者さんはセットで持っていたものを売りにだしたことが分かります。こういう書き込みが嫌だという人もいますが、私は既に絶版となっている本は次の世代に残すための”管理人”として一時的に預かっているだけという感覚なので気になりません。

現在私が持っている文庫本は時代に合わせて現在の漢字が使われていますが、発売当時は旧漢字が使われている時代なので、今回購入した4冊は表記が旧漢字です。ページを見ているだけでも様式美を愛した三島由紀夫の世界により合っていることが分かりますし、何だかより美しく見えてきます。

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「春の雪」の最後のページ

長い輪廻転生の物語の初めとなる「春の雪」で最後に主人公が友人の本多に言うセリフも「今、夢をみてゐた。又、會ふぜ。きつと會ふ。瀧の下で」となり、これから本多が生涯を通じて一つの魂を追いかける物語の最初の再会の予言がよりドラマチックに見えてきます。また奥付と言われる本の最後のページを見ると、昭和44年1月5日に発行され、2月22日の段階で六刷版ということから、どれだけ当時三島由紀夫人気があったかを感じさせますね。

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本が娯楽のメインだった頃の名残。今では考えられない売れ方!

三島由紀夫は昭和45年に亡くなっているので、彼の存命中からこの本はこの世に存在していたことになりますね!凄い。約50年前の本になります。そして他の3冊の奥付を調べてみると気が付いたことが。残りの3冊「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の奥付から、どうやらこの3冊は「初版本」ではないかと思われます。。。えっ・・・?(大汗)

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明らかに初版本のような気が・・・

本の世界では、初版本に価値を見出し有名作家の作品の初版本を集めているコレクターもいる程ジャンルが確立しています。出版社もどれだけ売れるか分からないので印刷数が少なく、希少性が高いということや誤字脱字が修正される前ということもあり古本市場でも価値が高めに設定されています(三島由紀夫の作品の場合は人気作家なのでかなりの冊数を印刷していると思われるので希少性は怪しいですが)。どうやら前のオーナーさんは発売された昭和44年から三島由紀夫が自刃し最後の作品である「天人五衰」が発売されるまで2年間このシリーズを追いかけていた熱心なリアルタイム三島由紀夫読者だったことが分かりますね。三島由紀夫ファンの先輩です!!

書店では奥付を確認しないで買ってしまったのですが、これはもしかしたら日本文学の歴史に残る貴重な本を偶然買ってしまったのではないかと興奮しております。私の知識ではこの3冊が初版本であることを断言出来ないのですが、たとえそうでなかったとしても私にとっては貴重な本達です。多分この本達を私が手放すことはないと思うので、私が死ぬ時はこの4冊が次の世代の本を愛する”管理人”の下に行けるようにまた神保町の古本屋さんに持って行かないといけませんね。偶然にも美しい本達の管理者としてアサイン頂いたので、諸先輩の思いを受け止めてしっかりと勤めを果たしたいと思います。

それにしても古本屋さんで4冊セット1,000円(文庫本より安い)で買ったのですが良かったのかなと心配になってきました。これから時間をかけて「豊饒の海」をこの本達で読み返したいと思います。文庫本は読まなくなりそうです(苦笑)

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