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バックパックを背負って!旅情を誘う名著「深夜特急」 [本]

旅に出よう!絶対何かが待っているから。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫) これまで危険すぎて後回しにしていた本に勇気を出して読み始め、遂に読了しました。その本(シリーズ)の名は「深夜特急」です。知る人ぞ知るバックパック―のバイブルであり、この本に影響を受けて突然パックパックを背負って旅に出たいと心をかりたてられた人を多く生んだ、罪深い位人を旅に駆り立てるノンフィクションの名作です。今更説明不要の名著なのですが、一応簡単にあらすじを紹介したいと思います。

インドのデリーからロンドンまでバスで行くという主人公の壮大なプランが達成可能かどうかを友人達と賭けをし日本を出発する。しかしいきなりデリーに行くのは勿体ないと香港に立ち寄り旅のスタート地点と選ぶ。そこからインドを経由する寄り道だらけの壮大なユーラシア横断バスの旅が始まる。それは一言にまとめると「人との出会い、発見とトラブルに満ちた刺激たっぷりの旅の記録」である。

あらすじを読むだけで放浪癖がある人や旅行好きの人間にとってかなり危険な書物であることが分かるかと思います(笑)。私も久しく海外をプライベートで飛んでいないので、もう本を読んでいる間中”ここに行きたい、あそこにも行きたい!”の連続でした。行ったことがある国や場所が出てくると、自分の持っている印象とのギャップに驚いたり、共感したりと楽しめます。

香港の熱気やマカオでカジノにはまったり、ネパールのカトマンズで沈没仕掛けたり、インドのカースト制やバラナシで死体を焼き、ガンジス川に流す光景を半日ぼーっと眺める等、既存の価値観を越える世界に直面しながら、言葉も通じない現地の人々の親切(時々悪意)に揉まれ、だんだんと主人公が旅慣れしていく(精神的にタフに成長していく)様も面白いです。正直マカオでカジノにはまった時は先が心配になりました(苦笑)。旅を通じて時には病気になったり、長時間のバス移動で体がボロボロになったり、着いた先に何も無かったりと、色々な出来事に対して心の内側を赤裸々に描いているのでとても共感できますし、結構楽観的な考えに時々驚かされます。

主人公の旅のゴールは「ロンドンから電報を打つ」ことであって、それをした後にすること、いわゆる日本に帰国後の仕事や自分を待っている物がありません(フリーのライターの為)。ということは次のスタートが未定です。普通の人にとっては「旅が非日常」であってその先には必ず帰るべき日常が待っているのですが、主人公にとってこの旅を終わらせた先に待っている物は何もないので、トルコに入る辺りから「旅の精神的な終わらせ方」に戸惑いと迷いが顔を出し始めます。この葛藤が自分の中で昇華されていくと「人生の終わり方」と重ねて考えていくようになったりと、どんどん精神世界が広がっていきます。この辺りは「次が決まっていない、決めれない期間の不安定な状況」の経験が誰しもあるはずなので、自分探しの旅(精神的な旅を含む)をいかに解決していくのかを身近に感じることが出来て凄く良かったです!

シャンタラム〈上〉 (新潮文庫) 同じ様なバックパッカーや旅を愛する人の必読書として超が付くほど有名な作品に世界的大ベストセラー「シャンタラム」があります。インドのムンバイを舞台に余りにも予想を超えるディープな世界で”まさか!”の連続が繰り広げられるジェットコースター作品で、こちらを読んでしまった後だった為、「深夜特急」で起こるハプニングも全部予想を超えることなくすーっと受け止めることが出来てしまったのが個人的に勿体なかったなと感じます。本を読む順序が如何に大切かを実感しました。よってこの2作品の読む順序の正解は以下の通りです。

 正解)「深夜特急」→「シャンタラム」

決して「深夜特急」が面白くないという訳ではなく、たまたま似たようなノンフィクション作品に規格外の怪物名作「シャンタラム」があったということです。「シャンタラム」は徹夜覚悟で主人公と一喜一憂しながらスリリングな世界をひた走る物語なので、「深夜特急」が好きな人は絶対に読むべき本としておススメします。

全部で6冊と長編作品ですが、実は1冊が非常に薄く通勤で持ち歩くのも苦にならず最高でした!長い電車移動や新幹線の移動の時にも「深夜特急」を読んであっという間でした。実際にどれぐらい薄いのかは下の写真を見れば一目同然です(「シャンタラム」は1冊で「深夜特急」2冊分以上)。

深夜特急.JPG
現在のろのろと読んでいる岩波書店の「モンテ・クリスト伯」

すっかり旅に出たいモードのスイッチがONになってしまい、無駄に地球の歩き方を本屋で立ち読みしたりしています。今回の主人公のルートで特に行きたいと感じたのはペルシャ!イランのイスラマバードは私の永遠の憧れの地です。西へ西へと進む旅。最後までバスとフェリーでロンドンまで行き、この素敵な本を世に出してくれた著者沢木耕太郎氏を心から感謝したいと思います。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)

  • 作者: 沢木 耕太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/30
  • メディア: 文庫
深夜特急 全6巻セット 文庫本

深夜特急 全6巻セット 文庫本

  • 作者: 沢木耕太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮文庫
  • 発売日: 1994
  • メディア: 文庫
深夜特急(1~6) 合本版

深夜特急(1~6) 合本版

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • メディア: Kindle版

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