SSブログ

ジャズのこなれた粋のヴォーカルの神髄 アニタ・オディ [音楽]

ジャズのヴォーカルの名盤と言われる所以


Anita Sings the MostJazzというと楽器のセッション物がメインでヴォーカル物はあまり聞かないというジャズファンも結構いますが、それだけでは勿体ない。人間の声も素晴らしい楽器の一つですし、言葉を重ねることによって明確に音楽を届けることが出来るパワーがあります。今日はそんなジャズのヴォーカルアルバム作品で有名な一枚をご紹介します。Anita O'Day(アニタ・オデイ)の「Anita sings the most(アニタ・シングス・ザ・モスト)」です。この作品の良さは主張しすぎないヴォーカルのテクニックをふんだんに使った”ジャズのこなれ感”や”粋”といったジャズの神髄を感じさせてくれるところです。

アニタの声はハスキーボイスと表現される擦れ声で決して艶のある声でもなければ伸びる声でもありません。同時期に活躍したジャズの黒人系ヴォーカリスト達、例えばサラ・ヴォーンやエラ・フィッツジェラルドの抜群の歌の上手さやオペラや声楽系の”聞かせます声”ではない味のある声が、東海岸ジャズの主流であった穴倉に籠って歌う曲にしっくり馴染んでいるように感じます。まさにジャズというジャンルを”小粋に”表現するのにぴったりな歌声の持ち主で、生粋なジャズ・ヴォーカリストとは正に彼女なんです!!ただし、このジャズを表現する小粋さを最初から分かる人はジャズ耳が完璧に出来上がっている人で、私は最初聞いても余り感じるところがなかったのですが、何度も繰り返し聞いてこのCDの良さが理解出来るようになりました。では、早速アルバムに収録されている1曲目の「S'Wonderful」をどうぞ!!

ピアノが曲をガンガンドライブしながらも、アニタの絶妙なアドリブとスイングで雰囲気を一瞬で変えていくのがポイントです。ピアノソロも聞きどころです。

このアルバムを更に特別にしているのが、アニタの歌をサポートする演奏メンバーです。何とピアノには超絶技巧でキラキラ感たっぷりのオスカー・ピーターソンを筆頭に当時のVerveの豪華&最強サポート隊4名なんです!!「S'wonderful」のピアノによるドライブはピーターソンだからこそ出来る技なんですね~。高度な演奏技術を持ったピーターソン達をサポートに迎えたとなれば、アニタも歌唱力とテクニックを思い切り披露出来ますよね。奇跡のキャスティングとはこのことだ!!

声を張り上げるのではなく、肩の力が抜けたような歌い方ながらも聞かせところを完璧に把握しているからこそ出来る崩し方なんて真のジャズの粋の世界です。スローバラードからスウィンギーなハイテンポの曲まで自由自在に歌う”アニタスタイル”は、ただ上手いだけのシンガーではない出来ないテクニックです。彼女の歌い方はジャズ界のお手本として後世に大きな影響を与え、ジャズの白人女性歌手のトップとして多くの憧れとして君臨しました。

声と歌い方に個性があるので、好きな人にはたまらないと思いますがNGの人には多分受け入れるのが難しいかと思います。収録されている曲は全てスタンダードと呼ばれる定番物ばかりなのでコレクションに1つ持っていても損はない1枚です。特に『星影のステラ』はジャズのスタンダードナンバーの筆頭です。メロウでしっとりとした歌声とピーターソンの星の輝きの様な演奏から始まる演奏はうっとりと聞き入ってしまいます。重すぎない小粋なジャズのヴォーカルとして最高峰の1枚いかがでしょうか。おすすめです。

一生モノのジャズ名盤500 (小学館101新書)

一生モノのジャズ名盤500 (小学館101新書)

  • 作者: 後藤 雅洋
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/08/02
  • メディア: 新書
アニタ・シングス・ザ・モスト

アニタ・シングス・ザ・モスト

  • アーティスト: オスカー・ピーターソン,ハーブ・エリス,レイ・ブラウン,ミルト・ホランド,ジョン・プール
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2003/04/23
  • メディア: CD

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0