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ネロ少年が見上げた絵「キリストの降架」-ベネルクス旅行記 [ベネルクス旅行記_2007]

誰もが涙の「フランダースの犬」の教会!!

アントワープは、誰もが涙する物語「フランダースの犬」の舞台になった街。クリスマスの夜に忍び込んだ教会で、ネロとパトラッシュが美しい絵を見上げ、そのまま天国へ召されるシーンは、誰もが涙するシーンですよね。あぁ、思い出すだけで涙が・・・(泣)

そんな悲しくも美しいお話のラストシーンが、アントワープの中心にある「ノートルダム大聖堂」です。そしてこの教会には、物語の中でネロ少年が憧れ続けた絵、ルーベンスの最高傑作「キリストの降架」があります。それでは、どうぞネロ少年になった気分でご覧ください!!

 キリストの降架

さすがにネロ少年を魅了し、ルーベンスの最高傑作と言われるだけあり、実際に絵を目の前にすると、その迫力というか存在感が「凄い」の一言・・・これぞ「ルーベンス」という作品で、この絵に憧れたネロ少年の気持ちが良く分かりますね・・・。

また、教会の反対側には「キリストの降架」の対の作品、「キリストの昇架」が飾られています。

 キリストの昇架

キリストが十字架にかけられる姿を描いたのが「キリストの昇架」で、刑が施行され、十字架から降ろされる場面を描いたのが「キリストの降架」。キリストの死によって嘆き悲しむ人々の心を表すかのように、深く落ち着いたトーンと均衡の取れた構図で描かれている「キリストの降架」に比べると、「キリストの昇架」はルネッサンスの影響を色濃く宿す明るい色調でダイナミックに描かれているのが特徴です。2つの作品をジックリ見てみると、ルーベンスの作風の変遷を見て取ることが出来ますね。

そしてこのノートルダム大聖堂の祭壇画もルーベンスによる「聖母被昇天」。

 聖母被昇天

かなり大きな絵であることと、高い位置にかかっているので、細かい部分まで鑑賞するのはちょっと無理なのが残念です。以上の3作品は、ルーベンスがこの大聖堂のために製作したものです。そしてその他にも、ルーベンスによる「キリストの復活」という作品が、この大聖堂に飾られています。

 キリストの復活

この作品は、個人の墓所用に描かれたものなので、小さめの作品。しかも、工事現場のド真ん中にあるため、地図を持っていても探すのが大変なほど。写真の右端に足場が・・・。

どこもかしこも大工事中のアントワープらしく、大聖堂も一大工事の真っ只中。そんな中に、人類の至宝といっても過言ではないルーベンスの傑作が、工事現場に置かれているのにはビックリ仰天。せめて、もう少し安全な場所に移動して欲しいです・・・(涙)。そして、いつも大聖堂などに飾られている芸術作品を見て感じるのですが、これらの傑作を保護ケースなどにも入れず、蝋燭の煙や日差しがそのまま当たる場所に置いているのは、果たして作品保護の観点から見てどうなのか、ということ。ルーベンスの作品も色褪せや、クリーニング、修復が必要なのは一目で分かる程。この教会に置かないと作品の真価を感じられないことは良く分かるのですが、作品を将来に伝えていく視点から考えると・・・まさにジレンマです。

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コメント 2

大井sigeki

やはりasさんは行かれましたか・・・・・
行くんちゃうかなぁ?・・とは思ってましたが。
クリスマスに公開されるルーベンスの絵。
それを誰もいない教会に忍び込み、静寂の中で
ただ一匹の兄弟分の犬のパトラッシュと共に、見上げるルーベンス

村人から虐げられ
画家になる夢を砕かれ
「疲れた・・・」も一言を残し
天使たちに天界へ連れて行かれキリストの左頬に触れるネロとパトラッシュ

asさんらしくて、素晴らしい記事でした
この絵を見てると、そら凍えそうなら死んでもかまへんワイと思える荘厳さです。
by 大井sigeki (2007-10-31 23:05) 

as

>トールバズさん、ようこそ!!「フランダースの犬」の舞台を!!というわけではなく、純粋に大好きなルーベンスの最高傑作という視点からこの絵を見ようと心に決めていたのですが、やはりあの涙のシーンの相乗効果で、感動も倍増でした(笑)

私が行った日は土砂降りの雨で、光不足できれいに写真を撮ることができなかったことが残念でしたが、少しでも雰囲気が伝わればと思います!!
by as (2007-11-01 18:24) 

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